普段の話から、ゲームの話まで、色々あります。
BL話も入る可能性があります。
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病んだといっても、そこまでじゃないと思う。
でも、お母さんが凄いから、ロスさんもそうなってもおかしくないほどの執着心はありそうなんだよな。
でも、お母さんが凄いから、ロスさんもそうなってもおかしくないほどの執着心はありそうなんだよな。
「勇者さんは、魔力が制御出来るようになったらどうするんですか?」
「一人で旅に出るつもりだよ」
「オレ達と一緒に行かないんですか?」
「何で?」
「何でって…それはオレの方が聞きたいです」
制御できるようになったら、オレ達と行くものばかりだと思っていた。
「ただでさえ、ボクの家庭教師に時間を取らせているんだから」
「そんなのは別に気にしなくていいですよ」
「ボクは気にするよ」
これは、勇者さんなりの優しさなんだろう。
だからといって認められるものでもない。
この家庭教師でさえ、勇者さんに会うための一つなのだから。
それすらも無くなったら、オレはどうやって勇者さんに会えばいい。
旅に出てしまえば、そう簡単には会うことが出来ない。
「…そうですか」
「早く制御出来るようになって、お前の手を煩わせないようにするから」
「今の状態だと、無理ですけどね!」
「そんな事は、自分がよく分かってるよ!」
そう言った所で、勉強の面倒を見ているオレだから分かる。
そんなに遅くないうちに、勇者さんは魔力制御が出来るようになる。
一緒に行くつもりがないのなら、出来てないという事で、勇者さんをここに引き止めるしかない。
「そろそろ家庭教師の時間が終わりますけど、この課題終わらせておいてくださいね!」
「一ヶ月で出来る量にしてよ!」
「これくらい出来ないと、ここを出るなんて無理ですよ」
「ううー…分かったよ」
オレの出した課題と格闘している勇者さんを見る。
オレとじゃないにしても、一人で良かった。
もし、誰か別の奴と一緒に行くつもりだったとしたら、オレは…。
「勇者さん…」
「何?」
「もし、オレ以外の誰かと一緒に旅に出たら…」
「旅に出たら?」
「勇者さんの両足を切って、何処にも行けないようにしていいですか?」
「何、怖いこと言っての!?」
「オレは本気です」
「そこまではっきり言われると、余計に怖いよ!」
「勇者さんがオレから離れようとするからですよ」
「離れようとするって…」
「本当に一人で旅に出る予定になっていて良かったです。オレに、そんな事させないでくださいよ」
「冗談で言ってるんだよね?」
「今の言葉に関しては本気ですよ」
「っ…その言い方だとまるで…」
「まるで…何ですか?」
”ボクを好きみたいじゃないか…”
聞こえるか聞こえないかの呟きだけれど、オレの耳にははっきり聞こえた。
「そうだと言ったらどうしますか?」
「!!」
オレの言葉に驚き、後ずさりし始めた勇者さんに近づこうとすると、勇者さんは後ろに下がり始める。
オレはどんな顔をしているんだろうか?
後ろに下がり続け、逃げ場の無くなった勇者さんは壁を背にしてオレを見ている。
ああ、こんな顔もいいな…。
今まで見たことの無い顔をオレに見せてくれている。
オレは、少し怯えている勇者さんに優しく話しかける。
「勇者さん…約束してくだい」
「シオン…」
「絶対に誰とも一緒に行かないと、過ごさないと」
「シオ「勿論、ルキも駄目ですからね?」
「そこまでしなくても!」
「オレと旅に出てくれないんですから、当然ですよ」
「なあ、シオン、ボクは…」
「返事は要りません。 どんな返事をもらおうとしても、オレの気持ちが変わることはないので」
「そんなの…」
勇者さんが何かを話そうとし始める。
それを聞く余裕はなさそうだ。
誰かが来る気配がする。
タイムリミットか…。
相手が来る前に、いつも通りの自分に戻る。
「じゃあ、勇者さん、その課題終わらせおいてくださいね!」
「え?」
「時間が来たみたいなので」
向こうの方から、ルキとクレアの声が聞こえてくる。
「シオン!」
「約束…破らないでくださいよ」
それだけを伝えると、オレは牢屋から出て行く。
次の家庭教師の日、あなたはオレにどんな顔を見せてくれますか?
今日見せたもの以上の顔を見せてくれますかね?
はは、今から楽しみだ…。
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