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これで終わらせる。
終わらせたい!
多分、終わらせられる。
書いていってみないと分からないけどね。
終わらなかった!
アルバさんとの契約が成立してないのが分かってから、アルバさんの様子がおかしい。
それが分かってからも、アルバさんはここに居てくれる。
その理由が何なのか分からなかったが、オレなりに予測してみた。
様子がおかしくなったのは、それをアルバさんに言った後からだった気がする。
「アルバさん、何かありましたか?」
「何かって?」
「何となく、いつもと違うような感じがしたものですから」
「特に何もないけど?」
いつもよりそっけない感じがする。
何でだ?
「オレ、何かしましたか?」
「何もしてないよ。何で、そんなに気にするの?」
「気になるからです」
「本当に何も無いよ」
「そうですか、何かしたのでなければいいです」
「うん、ロスは何もしてないよ」
少しだけ、引っかかる言い方だな。
それが気になりはしたが、これ以上は聞いても教えてもらえそうに無い。
もしかしたら、契約が成立してなかった以外にも、隠している事があるんじゃないだろうか?
あの時みたいに、本名を言うって脅して答えてもらうべきか…。
そもそも、本名を教えたら、アルバさんと居られないの意味を教えてもらえてない。
教えてもらえたのは、契約が成立してない事と、名前を偽った事に対して騙されていてくれた事。
その理由は教えてくれたが、結局肝心な事は聞けてない。
「好きだな…」
「何がですか?」
「! あ、い、いま、テレビに出ていた物の事だよ!」
「ああ、なるほど。 もし、欲しいものがあったら言っていいですからね」
「そこまでじゃないから大丈夫だよ。 それに…」
「それに?」
「遊園地に連れて行ってもらえただけで充分だから」
「他にはないんですか?」
「無いよ」
本当に無いんだろうか?
悪魔なら、魂を欲しがるんじゃないか?
少しだけ気になったので、試しに聞いてみる事にした。
「…オレの魂は?」
「…欲しいって言ったらくれるの?」
アルバさんが本気でそれを望んでいたら…。
もし、契約が成立していたら、いつかは魂を取られていた。
それが早いか遅いかの違いだろう。
それなら、答えは一つしかない。
「アルバさんにならいいですよ。 何となく、オレが叶えてもらいたい願いが分かり始めているんで」
「!?」
聞いた本人が驚いている。
そこは、喜ぶ所だろ。
「……そんな事言ったら駄目だよ」
「何で、悲しそうな顔をしているんですか?」
「ロスが悲しくなる事を言うからだよ…」
「嬉しくはないんですか?」
「何で、嬉しいと思うんだよ!」
「元々は、オレの魂が目的でしたよね?」
「それはそうだけど…でも!」
「でも?」
「っ!……」
アルバさんはそのまま黙ってしまった。
その先を答えてくれるのを待っていると、返ってきた言葉は全く違うものだった。
「…ボク、ここを出て行くよ」
「何を言って…今になって出て行くって…」
この人は何を言っているんだ?
「ボクは、ロスに甘えすぎてた事に気づいただけだよ」
「甘えていていいじゃないですか」
「それじゃあ、駄目なんだ!」
「なら、ちゃんとした理由を話してください! アルバさんが言った事は、出て行く理由になってません!」
「駄目なんだよ…ボクは…お前の傍に居たら駄目だったんだ…」
「アルバさん!」
アルバさんは、悪魔の姿に戻るとオレの前から居なくなった。
居なくなったとしても、本があればまた呼び出せるかもしれない。
急いで本が置いてあった場所に行くと、本も消えていた。
「確かに、ここに置いておいたのに…」
本はオレの願いを叶えるためにあったんじゃないのか?
何で、本まで消えるんだ!
確かにいつかはアルバさんと別れる時が来ると思っていた。
だとしても、この別れ方は違うだろ!
「オレの願いを叶えてくれるんじゃなかったんですか…アルバさん…」
オレの呟きに答えてくれる人は、この場には誰も居ない。
帰ってきたら”おかえり”と言ってくれる人を失ってしまった。
オレが、何か間違っていた事をしていたのなら教えてください。
教えてくれたら直しますから…だから…オレの傍に居てください…アルバさん。
おまけ
(アルバさん視点)
ロスに、ボクになら魂を渡してもいいと言われた時、凄く悲しかった。
魂を渡すって事は、二度とこんな風に話す事が出来なくなるのに。
ロスに、”オレの魂は?”と聞かれた時、ボクはすぐに答える事は出来なかった。
だからこそ、ああ言ったのに…。
ロスなら、”渡すわけが無いじゃないですか”と言ってくれると思っていたのに…。
ボクが待っていた答えと全く違う答えが返ってきた。
それを聞いた時、ボクは気づいてしまった。
このままロスの傍に居たら、ロスは叶えたい願いをボクに言って、契約が成立してしまう。
その時、本当の名前を教えてもらってしまえば、完全に逃げられない。
それだけは駄目なんだ!
「ボクは、お前には生きていてほしいんだよ…」
ただ、傍に居たいだけだった。
それだけで、ボクはロスの傍に留まっていた。
こんなにも失うのが怖くなる前に離れておけばよかった…。
気づくのが遅かったんだよ…。
「ボクは馬鹿だ…」
本当は離れたくない!
離れたくないのに、ボクが傍に居れば、ロスの死を早める。
これでいいんだ。
いつかロスもボクの事を忘れてくれる。
それまでの間、自分の場所に戻っていよう。
次に誰かがボクを呼んでくれる、その時まで…。