普段の話から、ゲームの話まで、色々あります。
BL話も入る可能性があります。
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その前に、予約投稿ミスで…本来、4月1日にあげる予定の話がそのままアップされてしまいました。
それに気づいて、急遽し直しましたけど…意味無いな(笑)
それはそれとして、続きに書いてみる。
ロスさんが偽者だ!
S要素、最後にちょっとだけあるかも?
こんなのは違うと思ったら、読まない方がいいと思います(笑)
基本的に、このロスさんは甘いです。
という事で、書き終わりました!
次は…自分で自爆した、所有印話を頑張る(笑)
にょた続きになりそうだから、ちょっとワンクッションあけると思います。
それに気づいて、急遽し直しましたけど…意味無いな(笑)
それはそれとして、続きに書いてみる。
ロスさんが偽者だ!
S要素、最後にちょっとだけあるかも?
こんなのは違うと思ったら、読まない方がいいと思います(笑)
基本的に、このロスさんは甘いです。
という事で、書き終わりました!
次は…自分で自爆した、所有印話を頑張る(笑)
にょた続きになりそうだから、ちょっとワンクッションあけると思います。
シオンと約束をした、クリスマス当日。
ボクは、普段着ない服を着ている。
この日のために買った物。
スカートなんて、制服以外で久しぶりなんだよね。
前世が前世だったのもあるし、ひらひらした服よりも、やっぱりズボンを選んでしまう。
たまに、母さんが買ってきてくれるけど、洋服たんすにしまわれたままの事が多い。
そんなボクが、初めて自分で買ったスカート。
似合っているかな…。
変に思われないかな?
鏡で何度か確認をして、時計を確認すると、そろそろ出る時間だ。
「早く行かないと」
約束の時間よりも先について、シオンを待っていようと思ったら、ボクよりも先に本人が来ていた。
…ボクだって、結構早く来たつもりだったけど、相手の方が早かった。
何時から居たんだろう?
ここで考えていても仕方ないし、シオンの所に行こう。
行こうと思ったんだけど…私服の彼を見るのは初めてだった。
普段見慣れてない分、カッコよさに拍車がかかってる気がする。
ボクが思ってるだけかもしれないけど…。
でも、それは間違いじゃないと思う。
だって、知らない女の人とかも、チラチラとシオンを見てるし…。
どうしよう…声をかけてもいいのかな…。
ボクが、声をかけようかどうか迷っていると、シオンの方がボクに気づいた。
「アルバさん!」
ボクの名前を呼んで、シオンが駆け寄ってくる。
どうしよう、すごく嬉しい。
自分の方から、友達からって言ったのにね…。
「遅れてごめんね」
「時間内なんで、大丈夫ですよ」
「というか、何時からいたの? ボクも、結構早く来たつもりだけど?」
「アルバさんが来る10分前くらいですよ」
「そうなんだ…」
もし次があったら、今度はそれよりも早く待っていよう。
「先に言っておきますが、アルバさんを待たせるなんて事しませんよ」
「え?」
「オレより早く来る事を考えていても、それよりも早く来ますから」
「うぅ…何で…分かったの?」
「顔に出てます」
「え!嘘!?」
「嘘ですよ、アルバさんならそうじゃないかと思っただけです」
「ボクって、そんな風に思われていたんだ…」
「それに関しては、間違えてないと思ってます」
「それはそれとして、ボクが先に待っているのは駄目なの?」
「それは駄目です」
「何で?」
「オレが居ない時に、何かあったら嫌ですから」
「そ、そうなんだ…」
屋上で話したときも思ったけれど、やっぱり、優しくされると、ちょっと怖いな。
普通なら良い事なんだとは思うけれど…。
ボクに、昔の記憶があるから駄目なんだと思うんだ!
あの頃も、確かに優しい時は優しかったけど、普段は酷かったから、なお更だと思う。
何か企んでるじゃと思ってしまう自分が悲しい…。
「どっちが先に来るかどうかの論争は終わりにして、時間も勿体無いですし、行きましょう」
そう言って、手を差し出した。
えーと…これは…手を繋ぐという事でいいのかな?
無、無理!
だって、付き合ってるわけじゃないし!
「アルバさん?」
「普通に、隣を歩くのじゃ駄目、かな?」
「この時期ですから、人が多いんですよね。だから繋ぐんですよ」
「何で?」
「はぐれたら困りますから」
「そんなに子供じゃないよ!?」
「…それは分かってます」
「それなら、手を繋がなくてもいいよね?」
「…はぐれたらって言うのは建て前で、オレがあなたと手を繋ぎたいだけです。それでは駄目ですか?」
手を繋ぐのは恥ずかしいけど、悲しそうな顔をさせたいわけじゃない…。
せっかくのクリスマスだし、いいかな?
ボクは、差し出されたままの、シオンの手を握る。
「…は、はぐれたら困るしね!」
「そうですね」
その笑顔は反則だと思う。
手を繋いだだけなのに、シオンは本当に嬉しそうだった。
「じゃあ、改めて、どこに行きたいですか?」
「ボクが決めるの?」
「オレが決めてもいいですけど、どうせなら、アルバさんの行きたい場所の方がいいでしょう?」
「正直、こういう時、どこに行ったらいいのか分からないんだよね…」
「誰かと出かけた事は?」
「前の学校の友達とかならあるけど、男の人とは初めてなんだよね」
「ああ、なるほど。 それなら、オレが決めてもいいですか?」
「うん!」
「なら、オレの行きつけの場所に向かいましょう」
「どんな所なの?」
「普通の喫茶店ですよ」
「行きつけって事は、お気に入りの場所?」
「一人で過ごしたい時とか、よく使ってますよ」
「クレアさんは知らないの?」
「あいつを連れてくと、絶対に騒ぐので連れて行かないです」
「ボクはいいの?」
「アルバさんには、オレの事をもっと知ってほしいですから」
た、たまには、S要素出してもいいよ?
口に出しては言えないけどね。
赤くなった顔が見られてないといいけど…。
他愛もない話をしながら歩いていると、目的地の喫茶店に着いたらしい。
「ここです」
「落ち着いた雰囲気の喫茶店だね」
「そこが気に入っているんですよ」
「そっか」
シオンのお気に入りのお店。
クレアさんも知らない、ボクだけが知っている場所。
そんな場所を教えてくれるって事は、自惚れてもいいのかな?
「入りましょう」
「あ、うん」
喫茶店のドアを開くと、お店のマスターさんが声をかけてきた。
「珍しいですね、同伴がいるなんて」
「こんにちは」
「こんにちは」
「オレにとって、大事な人だから連れてきただけだ」
「ふぇ!?」
「えー!」
ボクが、その発言に驚いていたら、カウンターの方から、女の子の声が聴こえた。
とても懐かしい声。
ぴょこんと顔を出したその子は、ボクの前世で一緒に旅をしていた女の子。
三代目魔王ルキメデスこと、ルキちゃんだった。
ここでは、普通の女の子なんだね。
それは当然なんだろうけど。
ルキちゃんがここに居るって事は…ボクは、ちゃんとマスターの顔を見る。
よーく見てみると、雰囲気が少しだけ違うけど、ルキちゃんのお父さんだった。
「シオンさんにも、そういう相手が出来たんだね!」
「悪いか?」
「悪くないよ、そうなんだ、ふーん」
「あ、こんにちは」
「こんにちは! ねぇねぇ、名前教えて!」
「ボクは、アルバって言うんだ、宜しくね」
「アルバさんだね、私は、ルキっていうの、宜しくね!」
「ルキちゃんって、呼んでもいいかな?」
「うん!」
「ありがとう!」
ルキちゃんには、まだ会えてなかったから、今日ここで出会えて本当に嬉しい!
勿論、彼らにも記憶は無いと思う。
無いにしても、繋がっているんだなと思った。
「アルバさん、向こうの席に座りましょう」
「シオンさんが敬語…」
「何が言いたいんだ?」
「別に~」
「えっと、向こうだよね? 行こう、シオン」
ボクは、シオンが示した方向に向かう。
その後を、彼が付いてくる。
何となく、ここで止めておいたほうがいいと思った。
「オレは、いつもここに座るんですよ」
「いい席だね」
「一人で、黙々と本を読みながら時間を過ごしているけどね」
「何で、お前がいるんだ?」
「居たら駄目なの?」
「駄目だろ」
「えー、シオンさんのケチ!」
「ケチとかじゃなくて、空気を読めって言っているんだ」
「私、まだ子供だしね」
「どこがだ」
「二人とも仲良いんだね」
何だろう、こういうやり取りも懐かしいな。
「常連さんだからだよ」
「ボクも、話に混ざってもいいかな?」
「大歓迎だよ!」
「お前が言うな」
「あはは」
「ルキ、今日はそれくらいにしておきなさい」
「はーい」
「娘がすみませんでした。ご注文は何にしますか?」
「ちょっと待ってくださいね」
ボクは、メニュー欄を見る。
色々な軽食やデザート、飲み物があった。
「ボクは、紅茶をストレートでお願いします」
「オレも、アルバさんと同じもので」
注文を聞き終えると、マスターさんは、カウンターの方に戻っていった。
「この場所を、アルバさんが気に入ってくれると嬉しいです」
「素敵な場所だよね、教えてくれて有難う、シオン」
「どういたしまして」
暫くは、喫茶店で時間をつぶしていた。
いつも話しているような事でも、場所が変わると違うらしい。
そろそろ出ようって事で、自分の飲み物代を払おうとしたけど、いらないと言われた。
「でも、悪いし…」
「男が払うって言う時は、素直に甘えていいんですよ」
そういうと、ボクの分まで払ってくれた。
本当にいいのかな?
喫茶店の外に出ると、冷たい外気にさらされた。
「冷えますね」
「うん… あの…」
「何ですか?」
「紅茶、ご馳走様でした」
「オレが勝手にやっただけですよ」
「それは、ボクじゃなくてもやってあげるの?」
別に意味は無かった。
ただ、気になったから聞いてみただけ。
それだけだったんだけど、それを聞いたシオンは、急に不機嫌になった。
何で??
手は繋がれた状態だったので、機嫌の悪くなったシオンに引っ張られるように歩いていた。
「どこに行くの?」
「………」
ボクが話しかけても、何も答えてくれない。
どうやら、機嫌が悪いのもそうだけど、怒りもはいっているらしい。
ボクがさっき言った発言は、それだけ怒らせるものだったのだろう。
どうしよう…。
その時、シオンの足が止まった。
止まった先を見ると、綺麗なイルミネーションの飾りつけがされているもみの木。
周りには、誰も居ない。
ボクは、その綺麗さに目を奪われている時、シオンがやっと話してくれた。
「アルバさん、少しだけ言わせてもらってもいいですか?」
「何?」
ボクは、シオンの方に顔を向ける。
何を言われるんだろうと思っていたら、シオンの手がボクの頬に触れる。
うわわ…え、え、な、なに?
そう思ったのは一瞬だけ、シオンは、ボクの頬を引っ張った。
「っ!い、いひゃい!」
痛いと言いたかったけれど、頬を引っ張られているので、ちゃんと言えなかった。
シオンは、ボクの頬を引っ張りながら話す。
その前に、放して!
「あなた、オレの告白、なんだと思っていたんですか?」
”なんだと”と聞かれても、答えられない。
だって、頬がものすごく痛い!
「他の相手にも、同じ事をするか?と聞かれたら、しないです」
ボクの質問した事に答えてくれたけど、それよりも、頬を引っ張るのやめて!
そう言いたくても、一向に頬から手を放されないので、結局引っ張られたままだ。
「オレが好きなのは、アルバさんだけです。 そこをちゃんと理解していますか?
ああ、理解できるほどの脳みそが入ってなかったかもしれませんね」
ちゃんと入っているよ!とツッコミをいれたかったけれど、いれられない。
あまりにも痛くてだ。
泣きそうになっているのに気づいたのか、やっと、頬を引っ張るのをやめてくれた。
「うう…痛かったよ…」
「オレの傷ついた心の痛み、分かってくれましたか?」
「他に方法なかったの!?」
「あなたの場合、言葉よりも、態度の方がいいと思ったので」
途中までの優しいシオンはどこにいったの!?
けど、こっちの方が、シオンらしいと思ってしまう自分がいる。
「もう一回言いますが、オレが好きなのは、あなただけです。 その気持ちだけは疑わないでください」
「ご、ごめん…」
「ちゃんと理解しましたか?」
「身をもって理解しました…」
「それならいいんです」
「…本当にごめんなさい」
「もういいですよ」
彼が、何でボクを好きになってくれたのか分からなくて、返事を濁してしまった自分が嫌になる。
最初から信じてればよかったのに…。
「言い忘れてましたけど、その服、凄く似合ってますよ」
「あ、りがとう」
「オレだけのために着てくれたのなら、嬉しいんですけどね」
「…今日のために買った服だから、間違ってないかも…」
って、ボクは何を言っているんだ!
これじゃあ、シオンのために着たっていうのと同じだよ!
「い、いまの、聞かなかった事にして!」
「無理です」
「うっ…」
直視するのが恥ずかしくなるほどの、いい笑顔だった。
「オレは、良い方に受け取りますよ」
「良い方って…?」
「あなたも、オレが好きだと思っていいですよね?」
「えっ、あ、そ、れは…」
あの言い方だと、そうとしか思われないよね…。
間違ってはいないけど…。
「アルバさん」
「…?」
「今度は断りませんよね?」
何をと考えて、断らないといったら、一つしかない。
告白された時の事だと思う。
「オレと、付き合ってください」
「…宜しくお願いします」
こうして、ボクとシオンは付き合う事になった。
付き合い始めると、今までの態度は何だったんだろうと思うくらい、苛められるようになった。
でも、これが普通なのかもしれない。
シオンが、ボクを大事に思ってくれてる事には違いないから。
ボクは、普段着ない服を着ている。
この日のために買った物。
スカートなんて、制服以外で久しぶりなんだよね。
前世が前世だったのもあるし、ひらひらした服よりも、やっぱりズボンを選んでしまう。
たまに、母さんが買ってきてくれるけど、洋服たんすにしまわれたままの事が多い。
そんなボクが、初めて自分で買ったスカート。
似合っているかな…。
変に思われないかな?
鏡で何度か確認をして、時計を確認すると、そろそろ出る時間だ。
「早く行かないと」
約束の時間よりも先について、シオンを待っていようと思ったら、ボクよりも先に本人が来ていた。
…ボクだって、結構早く来たつもりだったけど、相手の方が早かった。
何時から居たんだろう?
ここで考えていても仕方ないし、シオンの所に行こう。
行こうと思ったんだけど…私服の彼を見るのは初めてだった。
普段見慣れてない分、カッコよさに拍車がかかってる気がする。
ボクが思ってるだけかもしれないけど…。
でも、それは間違いじゃないと思う。
だって、知らない女の人とかも、チラチラとシオンを見てるし…。
どうしよう…声をかけてもいいのかな…。
ボクが、声をかけようかどうか迷っていると、シオンの方がボクに気づいた。
「アルバさん!」
ボクの名前を呼んで、シオンが駆け寄ってくる。
どうしよう、すごく嬉しい。
自分の方から、友達からって言ったのにね…。
「遅れてごめんね」
「時間内なんで、大丈夫ですよ」
「というか、何時からいたの? ボクも、結構早く来たつもりだけど?」
「アルバさんが来る10分前くらいですよ」
「そうなんだ…」
もし次があったら、今度はそれよりも早く待っていよう。
「先に言っておきますが、アルバさんを待たせるなんて事しませんよ」
「え?」
「オレより早く来る事を考えていても、それよりも早く来ますから」
「うぅ…何で…分かったの?」
「顔に出てます」
「え!嘘!?」
「嘘ですよ、アルバさんならそうじゃないかと思っただけです」
「ボクって、そんな風に思われていたんだ…」
「それに関しては、間違えてないと思ってます」
「それはそれとして、ボクが先に待っているのは駄目なの?」
「それは駄目です」
「何で?」
「オレが居ない時に、何かあったら嫌ですから」
「そ、そうなんだ…」
屋上で話したときも思ったけれど、やっぱり、優しくされると、ちょっと怖いな。
普通なら良い事なんだとは思うけれど…。
ボクに、昔の記憶があるから駄目なんだと思うんだ!
あの頃も、確かに優しい時は優しかったけど、普段は酷かったから、なお更だと思う。
何か企んでるじゃと思ってしまう自分が悲しい…。
「どっちが先に来るかどうかの論争は終わりにして、時間も勿体無いですし、行きましょう」
そう言って、手を差し出した。
えーと…これは…手を繋ぐという事でいいのかな?
無、無理!
だって、付き合ってるわけじゃないし!
「アルバさん?」
「普通に、隣を歩くのじゃ駄目、かな?」
「この時期ですから、人が多いんですよね。だから繋ぐんですよ」
「何で?」
「はぐれたら困りますから」
「そんなに子供じゃないよ!?」
「…それは分かってます」
「それなら、手を繋がなくてもいいよね?」
「…はぐれたらって言うのは建て前で、オレがあなたと手を繋ぎたいだけです。それでは駄目ですか?」
手を繋ぐのは恥ずかしいけど、悲しそうな顔をさせたいわけじゃない…。
せっかくのクリスマスだし、いいかな?
ボクは、差し出されたままの、シオンの手を握る。
「…は、はぐれたら困るしね!」
「そうですね」
その笑顔は反則だと思う。
手を繋いだだけなのに、シオンは本当に嬉しそうだった。
「じゃあ、改めて、どこに行きたいですか?」
「ボクが決めるの?」
「オレが決めてもいいですけど、どうせなら、アルバさんの行きたい場所の方がいいでしょう?」
「正直、こういう時、どこに行ったらいいのか分からないんだよね…」
「誰かと出かけた事は?」
「前の学校の友達とかならあるけど、男の人とは初めてなんだよね」
「ああ、なるほど。 それなら、オレが決めてもいいですか?」
「うん!」
「なら、オレの行きつけの場所に向かいましょう」
「どんな所なの?」
「普通の喫茶店ですよ」
「行きつけって事は、お気に入りの場所?」
「一人で過ごしたい時とか、よく使ってますよ」
「クレアさんは知らないの?」
「あいつを連れてくと、絶対に騒ぐので連れて行かないです」
「ボクはいいの?」
「アルバさんには、オレの事をもっと知ってほしいですから」
た、たまには、S要素出してもいいよ?
口に出しては言えないけどね。
赤くなった顔が見られてないといいけど…。
他愛もない話をしながら歩いていると、目的地の喫茶店に着いたらしい。
「ここです」
「落ち着いた雰囲気の喫茶店だね」
「そこが気に入っているんですよ」
「そっか」
シオンのお気に入りのお店。
クレアさんも知らない、ボクだけが知っている場所。
そんな場所を教えてくれるって事は、自惚れてもいいのかな?
「入りましょう」
「あ、うん」
喫茶店のドアを開くと、お店のマスターさんが声をかけてきた。
「珍しいですね、同伴がいるなんて」
「こんにちは」
「こんにちは」
「オレにとって、大事な人だから連れてきただけだ」
「ふぇ!?」
「えー!」
ボクが、その発言に驚いていたら、カウンターの方から、女の子の声が聴こえた。
とても懐かしい声。
ぴょこんと顔を出したその子は、ボクの前世で一緒に旅をしていた女の子。
三代目魔王ルキメデスこと、ルキちゃんだった。
ここでは、普通の女の子なんだね。
それは当然なんだろうけど。
ルキちゃんがここに居るって事は…ボクは、ちゃんとマスターの顔を見る。
よーく見てみると、雰囲気が少しだけ違うけど、ルキちゃんのお父さんだった。
「シオンさんにも、そういう相手が出来たんだね!」
「悪いか?」
「悪くないよ、そうなんだ、ふーん」
「あ、こんにちは」
「こんにちは! ねぇねぇ、名前教えて!」
「ボクは、アルバって言うんだ、宜しくね」
「アルバさんだね、私は、ルキっていうの、宜しくね!」
「ルキちゃんって、呼んでもいいかな?」
「うん!」
「ありがとう!」
ルキちゃんには、まだ会えてなかったから、今日ここで出会えて本当に嬉しい!
勿論、彼らにも記憶は無いと思う。
無いにしても、繋がっているんだなと思った。
「アルバさん、向こうの席に座りましょう」
「シオンさんが敬語…」
「何が言いたいんだ?」
「別に~」
「えっと、向こうだよね? 行こう、シオン」
ボクは、シオンが示した方向に向かう。
その後を、彼が付いてくる。
何となく、ここで止めておいたほうがいいと思った。
「オレは、いつもここに座るんですよ」
「いい席だね」
「一人で、黙々と本を読みながら時間を過ごしているけどね」
「何で、お前がいるんだ?」
「居たら駄目なの?」
「駄目だろ」
「えー、シオンさんのケチ!」
「ケチとかじゃなくて、空気を読めって言っているんだ」
「私、まだ子供だしね」
「どこがだ」
「二人とも仲良いんだね」
何だろう、こういうやり取りも懐かしいな。
「常連さんだからだよ」
「ボクも、話に混ざってもいいかな?」
「大歓迎だよ!」
「お前が言うな」
「あはは」
「ルキ、今日はそれくらいにしておきなさい」
「はーい」
「娘がすみませんでした。ご注文は何にしますか?」
「ちょっと待ってくださいね」
ボクは、メニュー欄を見る。
色々な軽食やデザート、飲み物があった。
「ボクは、紅茶をストレートでお願いします」
「オレも、アルバさんと同じもので」
注文を聞き終えると、マスターさんは、カウンターの方に戻っていった。
「この場所を、アルバさんが気に入ってくれると嬉しいです」
「素敵な場所だよね、教えてくれて有難う、シオン」
「どういたしまして」
暫くは、喫茶店で時間をつぶしていた。
いつも話しているような事でも、場所が変わると違うらしい。
そろそろ出ようって事で、自分の飲み物代を払おうとしたけど、いらないと言われた。
「でも、悪いし…」
「男が払うって言う時は、素直に甘えていいんですよ」
そういうと、ボクの分まで払ってくれた。
本当にいいのかな?
喫茶店の外に出ると、冷たい外気にさらされた。
「冷えますね」
「うん… あの…」
「何ですか?」
「紅茶、ご馳走様でした」
「オレが勝手にやっただけですよ」
「それは、ボクじゃなくてもやってあげるの?」
別に意味は無かった。
ただ、気になったから聞いてみただけ。
それだけだったんだけど、それを聞いたシオンは、急に不機嫌になった。
何で??
手は繋がれた状態だったので、機嫌の悪くなったシオンに引っ張られるように歩いていた。
「どこに行くの?」
「………」
ボクが話しかけても、何も答えてくれない。
どうやら、機嫌が悪いのもそうだけど、怒りもはいっているらしい。
ボクがさっき言った発言は、それだけ怒らせるものだったのだろう。
どうしよう…。
その時、シオンの足が止まった。
止まった先を見ると、綺麗なイルミネーションの飾りつけがされているもみの木。
周りには、誰も居ない。
ボクは、その綺麗さに目を奪われている時、シオンがやっと話してくれた。
「アルバさん、少しだけ言わせてもらってもいいですか?」
「何?」
ボクは、シオンの方に顔を向ける。
何を言われるんだろうと思っていたら、シオンの手がボクの頬に触れる。
うわわ…え、え、な、なに?
そう思ったのは一瞬だけ、シオンは、ボクの頬を引っ張った。
「っ!い、いひゃい!」
痛いと言いたかったけれど、頬を引っ張られているので、ちゃんと言えなかった。
シオンは、ボクの頬を引っ張りながら話す。
その前に、放して!
「あなた、オレの告白、なんだと思っていたんですか?」
”なんだと”と聞かれても、答えられない。
だって、頬がものすごく痛い!
「他の相手にも、同じ事をするか?と聞かれたら、しないです」
ボクの質問した事に答えてくれたけど、それよりも、頬を引っ張るのやめて!
そう言いたくても、一向に頬から手を放されないので、結局引っ張られたままだ。
「オレが好きなのは、アルバさんだけです。 そこをちゃんと理解していますか?
ああ、理解できるほどの脳みそが入ってなかったかもしれませんね」
ちゃんと入っているよ!とツッコミをいれたかったけれど、いれられない。
あまりにも痛くてだ。
泣きそうになっているのに気づいたのか、やっと、頬を引っ張るのをやめてくれた。
「うう…痛かったよ…」
「オレの傷ついた心の痛み、分かってくれましたか?」
「他に方法なかったの!?」
「あなたの場合、言葉よりも、態度の方がいいと思ったので」
途中までの優しいシオンはどこにいったの!?
けど、こっちの方が、シオンらしいと思ってしまう自分がいる。
「もう一回言いますが、オレが好きなのは、あなただけです。 その気持ちだけは疑わないでください」
「ご、ごめん…」
「ちゃんと理解しましたか?」
「身をもって理解しました…」
「それならいいんです」
「…本当にごめんなさい」
「もういいですよ」
彼が、何でボクを好きになってくれたのか分からなくて、返事を濁してしまった自分が嫌になる。
最初から信じてればよかったのに…。
「言い忘れてましたけど、その服、凄く似合ってますよ」
「あ、りがとう」
「オレだけのために着てくれたのなら、嬉しいんですけどね」
「…今日のために買った服だから、間違ってないかも…」
って、ボクは何を言っているんだ!
これじゃあ、シオンのために着たっていうのと同じだよ!
「い、いまの、聞かなかった事にして!」
「無理です」
「うっ…」
直視するのが恥ずかしくなるほどの、いい笑顔だった。
「オレは、良い方に受け取りますよ」
「良い方って…?」
「あなたも、オレが好きだと思っていいですよね?」
「えっ、あ、そ、れは…」
あの言い方だと、そうとしか思われないよね…。
間違ってはいないけど…。
「アルバさん」
「…?」
「今度は断りませんよね?」
何をと考えて、断らないといったら、一つしかない。
告白された時の事だと思う。
「オレと、付き合ってください」
「…宜しくお願いします」
こうして、ボクとシオンは付き合う事になった。
付き合い始めると、今までの態度は何だったんだろうと思うくらい、苛められるようになった。
でも、これが普通なのかもしれない。
シオンが、ボクを大事に思ってくれてる事には違いないから。
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